終わりある一日

(ちょっとした短編小説です) 中央林間から長津田方面へ、田園都市線の薄暗い線路が伸びていた。 ところどころに屹立する高層ビル、そしてそれらが放つ健全で市民的な光が行き先を照らしている──かのようだった。 時刻は21時を回っていた。それほど遅くない…

恋愛についての覚書

*あくまでメモです 顔か性格かという選言が巷でよく言われる。簡単にまとめてしまえば、それは「外見か内面か」という二者択一である。けれども僕はこの感覚があまり良くわからない。留保しておけば、僕はこの二者択一を否定することで恋愛において超越然と…

同性愛"と"異性愛

最近、一同性愛者として、同性愛と異性愛の境界があいまいになってゆくのを感じる。 いや、むしろこういった方が適切かもしれない。それらがあいまいに”されてゆく”のを感じる。 あらゆる境界は仮固定だ。 それはつねに流動するし、一定に決まることはない。…

『フランケンシュタイン』、あるいは矮小存在としての怪物(2021/2/23)

ひとは一人では生きていけない。 これほどまでに使い古された警句もそう多くはないだろうと思いつつ、しかしそこには一種の途方も無い「正しさ」が込められているという気がしてしまうのも、それはそれでまた、いつの時代にも古びることのない「真実」なのか…

『ラカニアンレフト』と消費主義(2021/2/19)

例えば中吊り広告を見て、あるいはツイッターの新刊告知を見て、ひとは本を欲望するだろう。 書店に赴き、あるいはAmazonでポチって、ひとは本を購入するだろう。 家で、カフェで、図書館で、音楽を聞きながら、コーヒーを飲みながら、あるいはなにもせずに…